見直される「小水力発電」

行ってきました「水車プロジェクト」 ~奈良県川上村~ 

ネット検索で、『ローカルエネルギープロジェクト』というカッコいい名前を見つけました。京都に奈良にと手広くやっている様子です。こわごわ取材を依頼すると「川上村の水車の様子を見に行くので同行しますか?」とのこと。
そこでお会いしたのが、昨年まで京都市立伏見工業高校で教鞭をとっておられた足立善彦さん。聞くとデザインが専門で、地形や景観を見て水車をどこにつけると良いかがわかるそうです。

=「水車プロジェクト」って?
足立さんは『環境再生に工業技術が果たす役割』というテーマで、生徒とともに地域の課題と向き合い“深草トレイル”に関わったり、用水路で発電する可搬式水車の実証実験を琵琶湖疏水で行っていたのですが、地域との連携がすすみ、足立さんのアドバイスで、地域の方が、地域の資源で「水力発電」や「温度差発電」「バイオマス熱利用」などを低コストで手作りする、『ローカルエネルギープロジェクト』へと発展しました。
「水車プロジェクト」は、この『ローカルエネルギープロジェクト』の一つで、2012年京都・静原からはじまり、今では近畿一円に20地域、約50基の水車が回り始めています。


=川上村の水車
川上村の水車は、直径4メートルの木製水車で、まだ建設中です。水をどの角度で当てるか、どのような発電機が良いかなど皆さんで検討中。水は急峻な近くの山の上から、簡易水道の余り水をパイプで引いています。設計から材料(吉野杉)、土木工事、金属加工・製材に至るまですべて地元の方々。また発電だけでなく動力としても使える余力があるので、精米と粉ひきに利用するそうです。しかし電力を何に使うかはまだ決まっておらず、「桜のライトアップ?」など夢が広がっていました。

=「水車プロジェクト」の意義
「水車プロジェクト」は、地域主体で、地元の方が自分たちで使うために水車を作ることで、維持管理やメンテナンスも人任せにすることなく、地域防災などその地域で利用され根付くことを目指しています。
川上村の取材では、皆さんが知恵を出し合い楽しんでいるのが伝わってきました。水車を通して、新しいコミュニティが出来たり、設置した地域同士の連携が生まれていることも、エネルギーづくりにとどまらない意義のあることと感じました。